全身疾患からくる眼の疾患
全身的な疾患の合併症として、眼に異常が現れることがあります。
また、眼科の受診をきっかけに全身の疾患がみつかることもあります。
代表的なものとして以下の病気が挙げられます。
糖尿病、高血圧症・動脈硬化、甲状腺疾患、アトピー性皮膚炎など
糖尿病の三大合併症の一つに糖尿病網膜症があり、重度になれば失明原因となります。糖尿病は全身的に自覚症状に乏しい病気ですが、糖尿病網膜症も初期は自覚症状がないことが多いため、糖尿病の診断を受けた方は、定期的に眼科受診をするようにしましょう。
糖尿病網膜症は眼底出血や黄斑部浮腫をきたし、さらに進行すると血管新生緑内障、牽引性網膜剥離などを引き起こし、失明に近づいていきます。いったん進行した状態を、治療によって完全に元の状態に戻すことは困難です。血糖コントロールが不良であると糖尿病網膜症の発症、進行のリスクが上がるため、内科での血糖コントロールが重要です。
糖尿病網膜症以外にも、糖尿病は眼筋麻痺(眼が動かない、まぶたが上がらない)、白内障の進行、角膜潰瘍、虹彩炎などの原因となります。
高血圧および動脈硬化では、網膜の血管の詰まりから眼底出血、黄斑部浮腫を引き起こします。また、全身的に脳梗塞や心筋梗塞のリスクになるように、眼を栄養する網膜動脈が詰まってしまう、網膜動脈閉塞症のリスクとなり、急激な視力低下、視野の異常を引き起こします。
甲状腺疾患に伴う特有な眼症状を甲状腺眼症とよび、日本でのバセドウ病の約30〜40%に甲状腺眼症を認めます。眼球を動かす筋肉、外眼筋は腫れて肥大することで眼の動きが障害され、物が二つに見える複視の症状が出ます。また、外眼筋の肥大や眼の周りの脂肪の増生によって眼が押し出され、眼球突出をきたします。外眼筋の肥大が視神経を圧迫すると視機能が障害され、視力低下や視野の障害が起こります。治療はステロイドの全身投与や、外眼筋の肥大への放射線治療となります。
アトピー性皮膚炎は激しいかゆみを伴う皮膚の湿疹を生じますが、眼科の病気としては眼の周り、まぶたの皮膚の炎症、慢性の結膜炎、角膜炎をきたします。また、角膜の中央部が薄くなり、突出してくる円錐角膜の原因となります。
かゆみから眼を激しくこすったり、叩いたりすることで、白内障や、網膜に裂孔ができ、網膜剥離の原因となります。